＜子どもと家族の大国＞フランスは今 婚外子は半数超…カップルの「形」さまざま
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フランス西部ルマン市の、小さな庭が付いた２階建て住宅。午前８時半、中学校教員のオリビエ・ラバンドンさん（３３）と保育学校教員のマリー・ペネルさん（３２）の２人が出勤する。２人は毎日交代で、長男ポール君（２）を近所の保育ママの家に送る。
オリビエさんとマリーさんは２００６年、７年間の同居生活を経て「パクス」（連帯市民協約）を結んだ。カトリック教徒のマリーさんの実家は教会での結婚式にこだわったが、マリーさんは「親に結婚式などで金銭的にも負担をかけたくなかった」と語る。
●手軽なパクス定着
パクスは、未婚のカップルに所得税控除などで夫婦と同等の権利を与える、フランス独特の制度だ。同性愛カップルの権利向上を想定して作られたが、手続きの手軽さから、異性のカップルにも定着。今では利用するカップルの数は結婚に迫る。オリビエさんは「結婚に堅苦しさ、束縛感を感じた。煩わしさなしに２人の関係を社会に認めてもらえる」と、選んだ理由を語る。
１１年にパクスを結んだ北西部カーン市の公務員、エマヌエル・ゲランさん（２９）と民生委員のエレーヌ・ボティエさん（３３）も結婚の予定はない。エレーヌさんは、別れた男性との間に生まれた娘サシャさん（７）を連れ、０７年にエマヌエルさんと暮らし始めた。パクスの翌年、娘アデラさん（１）が誕生した。
サシャさんとアデラさんは、結婚していない男女間の子、つまり婚外子にあたる。だがエレーヌさんもエマヌエルさんも「社会の偏見を感じたことは一度もない」と言い切る。フランスでは１９７２年に婚外子への差別規定が撤廃され、２００１年の法改正で不倫による子を含む平等化が実現した。
●「生活、不自由ない」
パクスも選択しないカップルもいる。パリ市郊外に住む公務員のフィリップ・ガンビエさん（４０）とコンピューター技師カリヌ・ルブリさん（３８）は、出会って１年半後に長男のジュリアン君（８）が生まれた。「出産準備で忙しく、結婚やパクスまで手が回らなかった」とカリヌさん。親戚の多くが離婚しており、そもそも結婚への失望もあった。
パクスをしないと税控除の優遇措置は受けられないが、家族手当などは結婚と同様に給付を受けられる。「今の生活に何も不自由はない」とカリヌさん。フィリップさんも「すでに社会で家族として認められていると感じるので、パクスも必要ない」と話す。
状況に応じてその形を変化させていくカップルもいる。冒頭に登場したオリビエさんの弟バンサンさん（３０）は２４歳の時、エロディさん（３２）とパクスを結び、２年後に妊娠が分かってから結婚した。
「子どもと同じ姓を名乗りたかった」とバンサンさん。オリビエさんは「望む時に子どもを持ち、好きな時に結婚することも、私たちの社会が勝ち得た自由だ」と語る。
●婚外子は半数超
日本では９月、婚外子の遺産相続分を法律上の夫婦の子の半分とする民法の規定を憲法違反とする最高裁の判断が下され、この規定を削除する改正民法が成立した。フランスから実に４０年遅れだ。
しかし、相続以外の差別は残ったまま。２０１２年の婚外子の出生割合は、フランスの５６・６％に対し、日本はわずか２％に過ぎない。
婚外子への差別について、カリヌさんはこう語った。
「もう昔の話。社会は今、同性婚を認めるところまで来ているんだから」【パリ宮川裕章、山崎友記子】
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◇パクス
１９９９年に制定され、異性、同性のカップルに税控除などについて結婚と同等の権利を与える。離婚と比べ関係解消の手続きが簡単。
２人で住所地を管轄する簡易裁判所に行き、それぞれの出生証明書と身分証明書などを提出して協約書に署名すれば登録できる。手続きが簡単な半面、相手の姓を名乗れない、養子を取る時はカップルのどちらか片方の子どもとしてしか扱われないなど、結婚に比べ不利な点もある。
仏国立統計経済研究所によると、２０００年には結婚３０万５２３４件に対しパクス２万２２７１件だったのが、１０年には結婚２５万１６５４件に対しパクス２０万５５５８件に上った。異性間の利用も００年の７６％から、１０年は９６％に伸びた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131213-00000002-maiall-eurp
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
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フランス西部ルマン市の、小さな庭が付いた２階建て住宅。午前８時半、中学校教員のオリビエ・ラバンドンさん（３３）と保育学校教員のマリー・ペネルさん（３２）の２人が出勤する。２人は毎日交代で、長男ポール君（２）を近所の保育ママの家に送る。
オリビエさんとマリーさんは２００６年、７年間の同居生活を経て「パクス」（連帯市民協約）を結んだ。カトリック教徒のマリーさんの実家は教会での結婚式にこだわったが、マリーさんは「親に結婚式などで金銭的にも負担をかけたくなかった」と語る。
●手軽なパクス定着
パクスは、未婚のカップルに所得税控除などで夫婦と同等の権利を与える、フランス独特の制度だ。同性愛カップルの権利向上を想定して作られたが、手続きの手軽さから、異性のカップルにも定着。今では利用するカップルの数は結婚に迫る。オリビエさんは「結婚に堅苦しさ、束縛感を感じた。煩わしさなしに２人の関係を社会に認めてもらえる」と、選んだ理由を語る。
１１年にパクスを結んだ北西部カーン市の公務員、エマヌエル・ゲランさん（２９）と民生委員のエレーヌ・ボティエさん（３３）も結婚の予定はない。エレーヌさんは、別れた男性との間に生まれた娘サシャさん（７）を連れ、０７年にエマヌエルさんと暮らし始めた。パクスの翌年、娘アデラさん（１）が誕生した。
サシャさんとアデラさんは、結婚していない男女間の子、つまり婚外子にあたる。だがエレーヌさんもエマヌエルさんも「社会の偏見を感じたことは一度もない」と言い切る。フランスでは１９７２年に婚外子への差別規定が撤廃され、２００１年の法改正で不倫による子を含む平等化が実現した。
●「生活、不自由ない」
パクスも選択しないカップルもいる。パリ市郊外に住む公務員のフィリップ・ガンビエさん（４０）とコンピューター技師カリヌ・ルブリさん（３８）は、出会って１年半後に長男のジュリアン君（８）が生まれた。「出産準備で忙しく、結婚やパクスまで手が回らなかった」とカリヌさん。親戚の多くが離婚しており、そもそも結婚への失望もあった。
パクスをしないと税控除の優遇措置は受けられないが、家族手当などは結婚と同様に給付を受けられる。「今の生活に何も不自由はない」とカリヌさん。フィリップさんも「すでに社会で家族として認められていると感じるので、パクスも必要ない」と話す。
状況に応じてその形を変化させていくカップルもいる。冒頭に登場したオリビエさんの弟バンサンさん（３０）は２４歳の時、エロディさん（３２）とパクスを結び、２年後に妊娠が分かってから結婚した。
「子どもと同じ姓を名乗りたかった」とバンサンさん。オリビエさんは「望む時に子どもを持ち、好きな時に結婚することも、私たちの社会が勝ち得た自由だ」と語る。
●婚外子は半数超
日本では９月、婚外子の遺産相続分を法律上の夫婦の子の半分とする民法の規定を憲法違反とする最高裁の判断が下され、この規定を削除する改正民法が成立した。フランスから実に４０年遅れだ。
しかし、相続以外の差別は残ったまま。２０１２年の婚外子の出生割合は、フランスの５６・６％に対し、日本はわずか２％に過ぎない。
婚外子への差別について、カリヌさんはこう語った。
「もう昔の話。社会は今、同性婚を認めるところまで来ているんだから」【パリ宮川裕章、山崎友記子】
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◇パクス
１９９９年に制定され、異性、同性のカップルに税控除などについて結婚と同等の権利を与える。離婚と比べ関係解消の手続きが簡単。
２人で住所地を管轄する簡易裁判所に行き、それぞれの出生証明書と身分証明書などを提出して協約書に署名すれば登録できる。手続きが簡単な半面、相手の姓を名乗れない、養子を取る時はカップルのどちらか片方の子どもとしてしか扱われないなど、結婚に比べ不利な点もある。
仏国立統計経済研究所によると、２０００年には結婚３０万５２３４件に対しパクス２万２２７１件だったのが、１０年には結婚２５万１６５４件に対しパクス２０万５５５８件に上った。異性間の利用も００年の７６％から、１０年は９６％に伸びた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131213-00000002-maiall-eurp
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