浅倉大介、森雪之丞がVOCALOIDを語る──男声ボカロトリオ「ZOLA PROJECT」デモ曲について聞いてきた
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それぞれが個性的な声を持つ3人組の男声VOCALOIDデータベース「ZOLA PROJECT」がヤマハからいよいよ発売。その“デビュー曲”となるデモ曲「BORDERLESS」の作曲・作詞をそれぞれ担当した浅倉大介さん、森雪之丞さんにZOLA、VOCALOIDとの関わりについて聞いてきた。
浅倉さんは「VOCALOID楽曲は違和感がおもしろい」と話し、「プロの調教師を目指してみたいですね」と笑う。「人間だと思って作詞した」という森さんは「彼らは夢の世界から現実の世界にちょっと遊びにきてくれてるんじゃないか」と話す。
──浅倉さんはZOLAのデモ曲の作曲を担当されたわけですが、ZOLAの第一印象はどうでしたか?
浅倉:ぼくもかなり長いあいだ、人間の声のプロデュースやユニットの活動をしてきたんですけど、今回初めてVOCALOIDのための曲を作る、それも、世の中に浸透している女声VOCALOIDじゃなくて、男性3人組のVOCALOIDのライブラリ。ぼくの中では新人3人のデビュー曲を作るという、そんなプレッシャーもありながら、実際はけっこう楽しんで作りました。
──人じゃないわけですが。違和感はなかったですか?
浅倉:ぼくも長く作ってきたポップな、人間が歌っても成り立つメロディーと、VOCALOIDのある意味人間離れした部分のバランスを取るのが一番面白かったかな。
──浅倉さんと言えば、ヤマハの名機と言われたシンセサイザーの音色やデモ曲を作ったりされていましたよね。シンセとしてのVOCALOIDということで、浅倉さんに話が来たということですかね。
浅倉:どうなんでしょうね。それはヤマハの人に聞いてください(笑)
今回のミックスで、(VOCALOIDは)やっぱり楽器の音色に近いので、人間らしくポップに聴かせるにはどう処理したらいいのかな、ていう部分でいろいろと試行錯誤をしましたね。人間だとちょっと明るめに聴こえるようにピッチを高めにとったりする歌い方があるんですが、このZOLAのトラックでは数セント(1セントは半音のさらに100分の1)のレベルでピッチをコントロールしてます。
──その際にVOCALOID3のJob Pluginは使ってます?
浅倉:ぼくは基本Macで作っているんで、ヤマハの人にある程度作ってもらって、それを受け取って波形レベルである程度処理をしているんです。
──Mac版欲しいですよね。
浅倉:ほしいですね。Cubaseでは動くようになる(VOCALOID Editor for Cubase:愛称「ボカキュー」)らしいですけど、単体でもMacで動いてほしいですね。
──そこはぜひ浅倉さんからプッシュを。
浅倉:そうね、iOSでは動いているからね。
──iVOCALOIDですね(現在、女声のVY1、男声のVY2、そして女声アイドルボカロの蒼姫ラピスの3種類がある)。
浅倉:iVOCALOIDもダウンロードしたことはありますよ。
──iOS向けということでは、最近ではMobile Music Sequencerのデモ曲も浅倉さんがやられてますよね。
※Mobile Music Sequencer:iPhone、iPad向けの、バッキングを簡単に作ることができるアプリ。iVOCALOIDと組み合わせてGarageBandやCubasisなどのDAWを使うと、iOSだけで音楽制作を完結できる。
●森「彼らは夢の世界から現実の世界に遊びにきてくれている」
≪──森雪之丞さんのような歌謡曲、J-POPの大御所がVOCALOIDの世界に乗り込んで来るとはちょっとした驚きです。
森:いろんなことやってるうちに年をとりました(笑)
──人間でないものに歌詞を書くというのはどんな感じですか?
森:人間だと思って作詞しました。人間でないものはしゃべらないじゃないですか。ぼくらと同じように横に座ってはいないけど、彼らは夢の世界から現実の世界にちょっと遊びにきてくれてるんじゃないかと思うんです。
──3人のそれぞれに書き分けとかしましたか?
森:詞に関しては、3人グループのキャラを設定してかけあいというのであれば相当キャラを設定する必要があったけど、今回は浅倉さんのすごいリズム、ビートが走っているものにどう乗せるかなということがテーマだったので。
1カ所追っかけがあるんです。はじめは1オクターブ下で追いかけたんですけど、実際はオクターブで重ねたんですよ。1声対2声みたいなおもしろさはありますけど、それは詞とはちょっと違うことなので。
浅倉:3人いると真ん中が歌って、両脇の2人が間の手を入れて来る、みたいな。
森:VOCALOID用の音楽というのはないわけですから。そこはあえて意識しないで曲を作ったし、作詞の方も……。
コーラスグループだって、人間でもレコーディングでここはこうやろうとかいうことは当然あるわけじゃないですか。ここはこの2人が歌って、とか。それと同じことだと思うんですよね。まあ、文句を言わない。「俺、ここを歌いたいんだけど」とは言わない(笑)
浅倉:あと、「ここの高さ出ないんだけど」とも言わないしね。
──わははは。なるほど。発音にしても高さにしても、人間だと制限があるわけですよね。
●浅倉「VOCALOID楽曲は、違和感が面白い」
浅倉:人間はありますけど、VOCALOIDだとそのへんが言う通りに動いてくれるので、だから、VOCALOID楽曲って聴いててその違和感がおもしろいですよね。
上がって下がるのも、人間だとふっとなっちゃうところが機械のように普通に上がってくれたり。
──極端に音程が上下しても。
浅倉:がんばるしね(笑)
森:普通に入力しちゃうと3声に聴こえないんですよね。みんなピッチがよすぎて。機械だから。だから3声に聴こえるようにするためにはピッチをずらさないと。
──そのためのJob Plugin「ZOLA_Unizon」が入っているわけですね(別売のVOCALOID 3 Editorを使うと、このプラグインが利用できる)。
森:人じゃない大変さといったら、逆にそういうところですかね。
──3人、それぞれソロでやっていけると思います? どの声がお気に入りですか?
浅倉:そうですね。3人それぞれ声色に特徴を持ってるんで。ぼくはけっこうKYO君をメインに、ハーモニーだとYUUがつくかなあ、という。WILは甘い声なんで、おいしいところでバッと出してきたりとか、あったかいハーモニーが欲しいときには下ハモにWILを入れたりとか。人間でもあるじゃないですか、コーラスグループで。それが面白かったですね。
──その配分がすごく絶妙だなって。
浅倉:ありがとうございます。
──男声VOCALOIDが3人いっぺんにでてきて一挙に充実したのでこれはヤマハさんに感謝しなくちゃいけないですね。
浅倉:男声の音声ライブラリもけっこう出てるんですけど、やっぱり個性がそれぞれ強くって。
──強すぎる?
浅倉:disってるわけじゃないですけど(笑) ZOLAは個性があって、すごくピュアですよね。新人で手あかがついてない男の子3人でも声がいいから。で、「これをどうしますか?」って提案があって、それをぼくらも受けて、発売されて。これを使えば全員がプロデューサーになれるというのはすごいラッキーなことだと思います。
──彼らが育っていったらまた曲を書いてみたいと思いますか?
浅倉:プロの調教師を目指してみたいですね(笑)
人間のディレクションもうまくなるかもしれないですね(笑)
──逆もできるということですね。
浅倉:ただ、人間はビートにのったりということはできるけど、VOCALOIDにはまだそういうのはできなくって。そういうのをどうやろうかというと、そこはLogicでオートメーションしたりとか、ボリュームフェーダーかけまくって声の表情を出したりとか。けっこう大変だったけど面白かった。
──そこはLogicなんですね。
浅倉:はい。
──これからのVOCALOIDにはどんなことを期待していますか?
浅倉:VOCALOIDの音楽シーンはバーチャルな部分とリアルな部分が混在していて面白いものになっていて、型にはまらずこれから広がっていってほしいと思いますね。ぼくらの世代が想像しないようなことをみんなやってくれるからね。初音ミクが出て5年ですからね。
──育ちましたよね。
浅倉:すごい進化ですよね。ドラムマシンがでたときに、生のドラマーが「俺たちはどうなるんだ」みたいなものがレコーディング業界ではありましたけど、やっぱりそれぞれのよさがあって、それぞれが生き残っているので、VOCALOIDもVOCALOIDらしさを保って突っ走っていってほしいですね。とくにZOLAの3人には。
●言葉までを遊びの道具にしてしまう
森:作詞の域から離れる話かもしれませんけど、テクニックでできあがっていた音楽が、アイデアとかセンスとか楽しみ方とかそういうもので作れるようになってきた。コンピュータミュージックが始まったときからそうなんですけど、「まさか言葉まで」とはね。
まさに言葉までを遊びの道具にしてしまったんだから、それは人間ってすごいなって。ZOLAはもちろんすごいけど、でも人間がすごいな、ってところに結局は戻ってくるわけで。本当にZOLAは優秀だと思うけど、使っている人間がどれだけ楽しんで、イメージを広げて、夢と現実の境界線を破っていってくれるかということが、一番楽しいことだと思うので。そういうところで遊んでくれたらいいなと思っています。
浅倉:初めて雪之丞さんとコラボできたんでうれしくて。歌詞の世界がいいところを突いているんですよ。今までのボカロを愛している人たちにも通じるメッセージだし、ZOLAでボカロを知った方にもなんか、可能性を感じられるような、とても素敵な歌詞なんで、ぜひ言葉を見ながら聴いてほしいですね。
森:浅倉さんのビートがあって、シンコペーションもアンティシペーションがすごくビートを作っている、そのメロにいかにVOCALOIDの言葉を乗せるかというところで、「ZOLA君どのくらいできるかな?」っていう。
「天使なんて言ってたって」とか、食ったところで促音とか。浅倉さんのメロがそういうものを求めていたから実験ができたことなんで、非常におもしろいセッションができたと思います。
──それに応えるだけの性能だったと。
森:もちろん。ちょっと無理かなと思ってたんですけど。
浅倉:見事に応えてくれたなと思ってたんです。けっこうハードル高くって、小さな「っ」とか、一音節の中に「ん」が入ってたりとか、どう表現されるんだろうと。
──人間なら苦労しそうなところですね。
森:今の時代でそれが歌えないと難しいだろうと思われるようなことをZOLAにも試してみたというね。
浅倉:デビュー曲にして2人でSごっこしてましたね(笑)
──いじめたけど、ちゃんと応えてくれたよと。
森:むちゃくちゃ応えてくれましたね。
6月20日に行われたヤマハ銀座で開かれた発表会では、このデモ曲コンビと開発陣を加えたトークセッションが行われ、ZOLAで提供されるさまざまな音声、ビジュアル素材についても発表された。
音声素材はAHSのexVOICEに似た仕組みで、VOCALOIDデータベースでは表現しづらい音声断片を「中の人」が発声したものを収録。
ビジュアルについても、天野喜孝さんだけではなく、KEIさんなど4人の絵師が3人のビジュアルを自分流に描いたものを公式が提供しており、投稿にも使えるようになっている。
ZOLA PROJECTはオープンプライス。VOCALOID STOREでの価格は1万2800円。ダウンロード販売は現在のところ、行われていない。
なお、ZOLA PROJECTの今後の展開として、iVOCALOID版、英語データベースをはじめとする声色の拡充について剣持さんに聞いたところ、「未定」とのことだった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130623-00000005-zdn_n-sci
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
通販のe-問屋
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それぞれが個性的な声を持つ3人組の男声VOCALOIDデータベース「ZOLA PROJECT」がヤマハからいよいよ発売。その“デビュー曲”となるデモ曲「BORDERLESS」の作曲・作詞をそれぞれ担当した浅倉大介さん、森雪之丞さんにZOLA、VOCALOIDとの関わりについて聞いてきた。
浅倉さんは「VOCALOID楽曲は違和感がおもしろい」と話し、「プロの調教師を目指してみたいですね」と笑う。「人間だと思って作詞した」という森さんは「彼らは夢の世界から現実の世界にちょっと遊びにきてくれてるんじゃないか」と話す。
──浅倉さんはZOLAのデモ曲の作曲を担当されたわけですが、ZOLAの第一印象はどうでしたか?
浅倉:ぼくもかなり長いあいだ、人間の声のプロデュースやユニットの活動をしてきたんですけど、今回初めてVOCALOIDのための曲を作る、それも、世の中に浸透している女声VOCALOIDじゃなくて、男性3人組のVOCALOIDのライブラリ。ぼくの中では新人3人のデビュー曲を作るという、そんなプレッシャーもありながら、実際はけっこう楽しんで作りました。
──人じゃないわけですが。違和感はなかったですか?
浅倉:ぼくも長く作ってきたポップな、人間が歌っても成り立つメロディーと、VOCALOIDのある意味人間離れした部分のバランスを取るのが一番面白かったかな。
──浅倉さんと言えば、ヤマハの名機と言われたシンセサイザーの音色やデモ曲を作ったりされていましたよね。シンセとしてのVOCALOIDということで、浅倉さんに話が来たということですかね。
浅倉:どうなんでしょうね。それはヤマハの人に聞いてください(笑)
今回のミックスで、(VOCALOIDは)やっぱり楽器の音色に近いので、人間らしくポップに聴かせるにはどう処理したらいいのかな、ていう部分でいろいろと試行錯誤をしましたね。人間だとちょっと明るめに聴こえるようにピッチを高めにとったりする歌い方があるんですが、このZOLAのトラックでは数セント(1セントは半音のさらに100分の1)のレベルでピッチをコントロールしてます。
──その際にVOCALOID3のJob Pluginは使ってます?
浅倉:ぼくは基本Macで作っているんで、ヤマハの人にある程度作ってもらって、それを受け取って波形レベルである程度処理をしているんです。
──Mac版欲しいですよね。
浅倉:ほしいですね。Cubaseでは動くようになる(VOCALOID Editor for Cubase:愛称「ボカキュー」)らしいですけど、単体でもMacで動いてほしいですね。
──そこはぜひ浅倉さんからプッシュを。
浅倉:そうね、iOSでは動いているからね。
──iVOCALOIDですね(現在、女声のVY1、男声のVY2、そして女声アイドルボカロの蒼姫ラピスの3種類がある)。
浅倉:iVOCALOIDもダウンロードしたことはありますよ。
──iOS向けということでは、最近ではMobile Music Sequencerのデモ曲も浅倉さんがやられてますよね。
※Mobile Music Sequencer:iPhone、iPad向けの、バッキングを簡単に作ることができるアプリ。iVOCALOIDと組み合わせてGarageBandやCubasisなどのDAWを使うと、iOSだけで音楽制作を完結できる。
●森「彼らは夢の世界から現実の世界に遊びにきてくれている」
≪──森雪之丞さんのような歌謡曲、J-POPの大御所がVOCALOIDの世界に乗り込んで来るとはちょっとした驚きです。
森:いろんなことやってるうちに年をとりました(笑)
──人間でないものに歌詞を書くというのはどんな感じですか?
森:人間だと思って作詞しました。人間でないものはしゃべらないじゃないですか。ぼくらと同じように横に座ってはいないけど、彼らは夢の世界から現実の世界にちょっと遊びにきてくれてるんじゃないかと思うんです。
──3人のそれぞれに書き分けとかしましたか?
森:詞に関しては、3人グループのキャラを設定してかけあいというのであれば相当キャラを設定する必要があったけど、今回は浅倉さんのすごいリズム、ビートが走っているものにどう乗せるかなということがテーマだったので。
1カ所追っかけがあるんです。はじめは1オクターブ下で追いかけたんですけど、実際はオクターブで重ねたんですよ。1声対2声みたいなおもしろさはありますけど、それは詞とはちょっと違うことなので。
浅倉:3人いると真ん中が歌って、両脇の2人が間の手を入れて来る、みたいな。
森:VOCALOID用の音楽というのはないわけですから。そこはあえて意識しないで曲を作ったし、作詞の方も……。
コーラスグループだって、人間でもレコーディングでここはこうやろうとかいうことは当然あるわけじゃないですか。ここはこの2人が歌って、とか。それと同じことだと思うんですよね。まあ、文句を言わない。「俺、ここを歌いたいんだけど」とは言わない(笑)
浅倉:あと、「ここの高さ出ないんだけど」とも言わないしね。
──わははは。なるほど。発音にしても高さにしても、人間だと制限があるわけですよね。
●浅倉「VOCALOID楽曲は、違和感が面白い」
浅倉:人間はありますけど、VOCALOIDだとそのへんが言う通りに動いてくれるので、だから、VOCALOID楽曲って聴いててその違和感がおもしろいですよね。
上がって下がるのも、人間だとふっとなっちゃうところが機械のように普通に上がってくれたり。
──極端に音程が上下しても。
浅倉:がんばるしね(笑)
森:普通に入力しちゃうと3声に聴こえないんですよね。みんなピッチがよすぎて。機械だから。だから3声に聴こえるようにするためにはピッチをずらさないと。
──そのためのJob Plugin「ZOLA_Unizon」が入っているわけですね(別売のVOCALOID 3 Editorを使うと、このプラグインが利用できる)。
森:人じゃない大変さといったら、逆にそういうところですかね。
──3人、それぞれソロでやっていけると思います? どの声がお気に入りですか?
浅倉:そうですね。3人それぞれ声色に特徴を持ってるんで。ぼくはけっこうKYO君をメインに、ハーモニーだとYUUがつくかなあ、という。WILは甘い声なんで、おいしいところでバッと出してきたりとか、あったかいハーモニーが欲しいときには下ハモにWILを入れたりとか。人間でもあるじゃないですか、コーラスグループで。それが面白かったですね。
──その配分がすごく絶妙だなって。
浅倉:ありがとうございます。
──男声VOCALOIDが3人いっぺんにでてきて一挙に充実したのでこれはヤマハさんに感謝しなくちゃいけないですね。
浅倉:男声の音声ライブラリもけっこう出てるんですけど、やっぱり個性がそれぞれ強くって。
──強すぎる?
浅倉:disってるわけじゃないですけど(笑) ZOLAは個性があって、すごくピュアですよね。新人で手あかがついてない男の子3人でも声がいいから。で、「これをどうしますか?」って提案があって、それをぼくらも受けて、発売されて。これを使えば全員がプロデューサーになれるというのはすごいラッキーなことだと思います。
──彼らが育っていったらまた曲を書いてみたいと思いますか?
浅倉:プロの調教師を目指してみたいですね(笑)
人間のディレクションもうまくなるかもしれないですね(笑)
──逆もできるということですね。
浅倉:ただ、人間はビートにのったりということはできるけど、VOCALOIDにはまだそういうのはできなくって。そういうのをどうやろうかというと、そこはLogicでオートメーションしたりとか、ボリュームフェーダーかけまくって声の表情を出したりとか。けっこう大変だったけど面白かった。
──そこはLogicなんですね。
浅倉:はい。
──これからのVOCALOIDにはどんなことを期待していますか?
浅倉:VOCALOIDの音楽シーンはバーチャルな部分とリアルな部分が混在していて面白いものになっていて、型にはまらずこれから広がっていってほしいと思いますね。ぼくらの世代が想像しないようなことをみんなやってくれるからね。初音ミクが出て5年ですからね。
──育ちましたよね。
浅倉:すごい進化ですよね。ドラムマシンがでたときに、生のドラマーが「俺たちはどうなるんだ」みたいなものがレコーディング業界ではありましたけど、やっぱりそれぞれのよさがあって、それぞれが生き残っているので、VOCALOIDもVOCALOIDらしさを保って突っ走っていってほしいですね。とくにZOLAの3人には。
●言葉までを遊びの道具にしてしまう
森:作詞の域から離れる話かもしれませんけど、テクニックでできあがっていた音楽が、アイデアとかセンスとか楽しみ方とかそういうもので作れるようになってきた。コンピュータミュージックが始まったときからそうなんですけど、「まさか言葉まで」とはね。
まさに言葉までを遊びの道具にしてしまったんだから、それは人間ってすごいなって。ZOLAはもちろんすごいけど、でも人間がすごいな、ってところに結局は戻ってくるわけで。本当にZOLAは優秀だと思うけど、使っている人間がどれだけ楽しんで、イメージを広げて、夢と現実の境界線を破っていってくれるかということが、一番楽しいことだと思うので。そういうところで遊んでくれたらいいなと思っています。
浅倉:初めて雪之丞さんとコラボできたんでうれしくて。歌詞の世界がいいところを突いているんですよ。今までのボカロを愛している人たちにも通じるメッセージだし、ZOLAでボカロを知った方にもなんか、可能性を感じられるような、とても素敵な歌詞なんで、ぜひ言葉を見ながら聴いてほしいですね。
森:浅倉さんのビートがあって、シンコペーションもアンティシペーションがすごくビートを作っている、そのメロにいかにVOCALOIDの言葉を乗せるかというところで、「ZOLA君どのくらいできるかな?」っていう。
「天使なんて言ってたって」とか、食ったところで促音とか。浅倉さんのメロがそういうものを求めていたから実験ができたことなんで、非常におもしろいセッションができたと思います。
──それに応えるだけの性能だったと。
森:もちろん。ちょっと無理かなと思ってたんですけど。
浅倉:見事に応えてくれたなと思ってたんです。けっこうハードル高くって、小さな「っ」とか、一音節の中に「ん」が入ってたりとか、どう表現されるんだろうと。
──人間なら苦労しそうなところですね。
森:今の時代でそれが歌えないと難しいだろうと思われるようなことをZOLAにも試してみたというね。
浅倉:デビュー曲にして2人でSごっこしてましたね(笑)
──いじめたけど、ちゃんと応えてくれたよと。
森:むちゃくちゃ応えてくれましたね。
6月20日に行われたヤマハ銀座で開かれた発表会では、このデモ曲コンビと開発陣を加えたトークセッションが行われ、ZOLAで提供されるさまざまな音声、ビジュアル素材についても発表された。
音声素材はAHSのexVOICEに似た仕組みで、VOCALOIDデータベースでは表現しづらい音声断片を「中の人」が発声したものを収録。
ビジュアルについても、天野喜孝さんだけではなく、KEIさんなど4人の絵師が3人のビジュアルを自分流に描いたものを公式が提供しており、投稿にも使えるようになっている。
ZOLA PROJECTはオープンプライス。VOCALOID STOREでの価格は1万2800円。ダウンロード販売は現在のところ、行われていない。
なお、ZOLA PROJECTの今後の展開として、iVOCALOID版、英語データベースをはじめとする声色の拡充について剣持さんに聞いたところ、「未定」とのことだった。
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