学校へ行くメリットが説明できない時代
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小飼弾×松井博、どこへ行く? 帝国化していく企業(6):
仕組みをつくる一握りの人が富を握り、中間層の仕事は急速に消えていく。そんな世界の中、果たして教育はどうあるべきなのか。ネット上に教材が溢れ、ちょっと検索すればたいていのことの答えが見つかる中で、大学が果たすべき役割とは……。
●「仕組みを作る能力」は教育できるのか
松井:『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)を読ませていただきました。僕はさんざん仕組みづくりをやってきたので、非常に面白かったです。ただね、この本を読んでも、多くの読者は内容をよく理解できないのではないかと思いました。というのも、ほとんどの人は仕組みをつくった経験がないし、仕組みの作り方を学習する機会もないですよね。「便利そう。でもオレはどうやっていいか、分からない」となってしまうのではないでしょうか。
小飼:他人を「働かせる」という経験がないんですよね。
松井:仕組みづくりって、学校では教えてくれません。日本の学校は人との距離を測るとか、言われたことをやるとか、そういうことしか学校で教えてくれない。もし“企業帝国(国境を気にせず自らの利益を追い求める企業)”で出世したければ、仕組みづくりができないとダメなんですよ。
小飼:「仕組みの主になれ」ということですね。人を奴隷として搾取するのは人倫にもとるけど、コンピュータならいいわけですし。
松井:人を使うにしても「どういう仕掛けをつくってどう使うのがいいか」というデザインをしなければいけません。そういうところがないがしろにされすぎています。教育すべきはたぶんそこなのに……。
小飼:しかし教育でできるのでしょうか。こう言ってはなんですが、「検索して分かること」というのは、もはやすでにお金を払うような教育ではないんです。覚えている必要性がないですから。
松井:そう、見たいときにまたググればいいわけですからね。僕は「仕組みが大事だよ」っていろんなところで言ってきましたが、「仕組みをつくる」ことをどうやったら教育できるのか、よく分からないんです。国がやるべきなのか、それとも企業がやるほうがいいのか。
一方、ネットで検索して自分で自分を教育する人がいっぱいいるわけで。後進国ではそうした人が増えてきました。
小飼:海外に住んだことがないのに、英語が流ちょうな子どもがたくさんいます。なぜたくさんいるのかと聞いたところ「YouTubeで習った」というんです。だから素材はタダだと思っている。それをどうやってまとめるかがデザインそのものですね。
松井:いろいろ工夫すれば面白いんだけどね。粘土やブロックを使って何かをつくるのと、同じようなことなのに。
小飼:でも学校ではそこを組み合わせようとはしないんです。理由は、生徒を採点しなくてはいけないから。教育現場では上から降ってくるものを丸のみするしかなくて、「どれだけ上手に丸のみできたか」というのが点数の高さにつながってくる。
松井:自分で工夫できる子どもって、友だちと競い合って勝手にうまくなっているだけ。
小飼:そうなんです。テストの点数がいい子はいいゲームプレイヤーになれるかもしれないけど、ゲームメーカーにはなれない。ゲームメーカーになって初めてそのゲームに対して報酬が支払われるのにね。ものすごい人気のあるゲームの場合はトッププレイヤーがプロとして成立するかもしれないけど、そんなのはほんの一握りですからね。
松井:「シムシティ」(都市開発シミュレーションゲーム)みたいなゲームを進化させて、デザイン自体をゲームにするというのはどうでしょう? ワークフローのデザインとか。思いがけないやり方があるかもしれません。
小飼:仕事もゲームも一緒ですよね。「社畜だ」といっても、本人が面白ければ、他人から文句言われる筋合いはないんです。そういう仕事を辞められないという問題もありますが……。
松井:なぜ辞められないかというと、外を知らないからではないでしょうか。選択肢はいっぱいあるんだけどなあ。
小飼:そういった意味で、一番いい教育というのは「ただ外に出す」ではないでしょうか。子どもを学校にひとまとめにしておくというのが、よくない。
松井:そう、学校って、多様性がないからね。
小飼:いまの学校って、一番悪いやり方をしているのかもしれない。ひとまとめにしておくことの言い訳はコストですよね。
松井:でもネットがこれだけ発達すると、そんなのどうでもいいのではないかと思いますね。集めないほうがコストが安かったりして。ただ、僕は、競争するのが大好きなんですよ(苦笑)。
小飼:ははは。
松井:競争で伸びるタイプの子って間違いなくいます。僕はそういう意味で、学校は嫌いじゃなかった。
小飼:それはありますね。道場のようなものかな。
松井:そうそう。試合に負けたら、家に帰って、練習して、また試合に臨む。チームスポーツも楽しいし、もめながら練習するのも楽しいし、勝ち負けの体験の共有も面白いし。こうした経験って自分が企業で働いてからも生きていましたね。
僕は合気道の道場を経営したことがありますが、ものすごく楽しかった。ビジネスを覚えたのは、それが初めてだったんです。月謝をどうしようか? どこの施設を借りようか? といったことを考えました。自分がアップルで管理職になったとき「なんだ、合気道の道場を経営するのと同じじゃないか」と思いましたね。
小飼:そう考えると、やっぱり二分化してしまいますよね。勝つ人と負ける人に。
松井:工夫がうまい人とうまくない人がいますからね。
小飼:ただ、たいていの人は負けたら痛いし、悔しい。いまのところ勝者にしか賞金がもらえない仕組みになっていることが問題。その部分に再配分要素がないと、勝負を楽しいと思ってくれる人の数が増えない。負ける人は勝負に乗ってくれませんからね。
松井:負けると、痛すぎますからね。
小飼:だから「働かざるもの食うべからず」という仕組みをなるべく早く廃止してほしいんです。「とりあえず飢えはしませんよ。でも面白いゲームをしたかったら戦ってください。誰でもフィーチャーフォンは持てますが、スマートフォンを買いたければちょっと頑張ってください」と。
松井:だからといって、ゲームに負けても死ぬわけではない。あと、何回でもトライできたほうがいい。それで、ゲームに負けたら技を磨くとか、修行の場があるといい。ネットの学校でもいいけど、あまりにもそういうインフラがないですよね。日本は負けて再トライを目指す際に自分を再教育する場がほとんどない。
小飼:「海外に行く」というオプションがあるんだけどなあ。
松井:その選択はアリですよね。いざ行ってみるとそんなに大変じゃないというか、大変の種類が違うというか。僕は、日本の中で人間関係に気を遣っているほうがよっぽど大変だと思う。でも海外に行くことを恐怖に感じている人はたくさんいて、外国に行くくらいならココにいたいと。
●高学歴の人は「仕組みを維持する側」に回ってしまう
松井:1つの学校に入学してそこを卒業する、というモデルがヘンかもしれませんね。
小飼:「学校を卒業すると、何かいいことあるの?」という質問に対し、本当にさらっと説明できないんですよ。
松井:できませんね。
小飼:逆に学歴で地位を得るのであれば、学士ではダメで、博士が必要でしょう。一方で、中学をまともに通っていない人のほうが強かったりする。
松井:「今後のアップルは大丈夫でしょうか?」とよく聞かれますが、アップルには以前、中卒や高卒の人がたくさんいました。ですが、最近はどんどん減っていて……これって残念だなあと思いますね。
小飼:高学歴の人ってやっぱり仕組みを維持する側にまわってしまう。仕組みの中で育ってしまうとなかなか仕組みをつくる方向にいかないんですよね。
松井:高学歴で「こうやったらいいんじゃないですか?」という人は少ない。むしろ、ちょっとヘンなこと言い出す人が必要になるんです。
小飼:槍の名手が集まるところで鉄砲を持ち出すみたいなね。
松井:博士号を持っている人って、いわば“槍の名手”なんですよ。槍を使わせると、ものすごくうまい。ただ、そこから「オレ、こんなの考えたんだけど」と、鉄砲を持ってくる人は生まれない。
鉄砲をつくる人が生まれるには、みんながいろんなことにチャレンジしている環境しかないと思っています。100万人くらいがトライしていれば、1人くらい面白いことを考える人が出てくる。だからみんながいろんなことにトライできる環境って大事だと思いますね。だけど失敗したときのコストが高すぎると誰もトライしなくなるから、やっぱり伸び悩んでしまう。
ちなみに、自分の子どもには「大学、行かなくてもいいんだぞ」と言っています(笑)。
小飼:大学へ行くことに、それだけの効用があるのかという疑問があります。そもそもコンピュータサイエンスなんかを勉強するのに大学に行く必要があるのでしょうか。
松井:本当にそうですよね。僕も新しい言語を覚えるときには、書店で数冊の本を買って、あとは“グーグル先生”に聞けばたいていのことが分かる。
小飼:そう、グーグル先生は大抵のことを知っている。逆にグーグルが知らないことはビジネスチャンスなんで。ほくそ笑んじゃうもんね。うふふって。(次回、7月8日掲載予定)
[野本響子,Business Media 誠]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130705-00000017-zdn_mkt-ind
※この記事の著作権は配信元に帰属します。
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仕組みをつくる一握りの人が富を握り、中間層の仕事は急速に消えていく。そんな世界の中、果たして教育はどうあるべきなのか。ネット上に教材が溢れ、ちょっと検索すればたいていのことの答えが見つかる中で、大学が果たすべき役割とは……。
●「仕組みを作る能力」は教育できるのか
松井:『小飼弾の「仕組み」進化論』(日本実業出版社)を読ませていただきました。僕はさんざん仕組みづくりをやってきたので、非常に面白かったです。ただね、この本を読んでも、多くの読者は内容をよく理解できないのではないかと思いました。というのも、ほとんどの人は仕組みをつくった経験がないし、仕組みの作り方を学習する機会もないですよね。「便利そう。でもオレはどうやっていいか、分からない」となってしまうのではないでしょうか。
小飼:他人を「働かせる」という経験がないんですよね。
松井:仕組みづくりって、学校では教えてくれません。日本の学校は人との距離を測るとか、言われたことをやるとか、そういうことしか学校で教えてくれない。もし“企業帝国(国境を気にせず自らの利益を追い求める企業)”で出世したければ、仕組みづくりができないとダメなんですよ。
小飼:「仕組みの主になれ」ということですね。人を奴隷として搾取するのは人倫にもとるけど、コンピュータならいいわけですし。
松井:人を使うにしても「どういう仕掛けをつくってどう使うのがいいか」というデザインをしなければいけません。そういうところがないがしろにされすぎています。教育すべきはたぶんそこなのに……。
小飼:しかし教育でできるのでしょうか。こう言ってはなんですが、「検索して分かること」というのは、もはやすでにお金を払うような教育ではないんです。覚えている必要性がないですから。
松井:そう、見たいときにまたググればいいわけですからね。僕は「仕組みが大事だよ」っていろんなところで言ってきましたが、「仕組みをつくる」ことをどうやったら教育できるのか、よく分からないんです。国がやるべきなのか、それとも企業がやるほうがいいのか。
一方、ネットで検索して自分で自分を教育する人がいっぱいいるわけで。後進国ではそうした人が増えてきました。
小飼:海外に住んだことがないのに、英語が流ちょうな子どもがたくさんいます。なぜたくさんいるのかと聞いたところ「YouTubeで習った」というんです。だから素材はタダだと思っている。それをどうやってまとめるかがデザインそのものですね。
松井:いろいろ工夫すれば面白いんだけどね。粘土やブロックを使って何かをつくるのと、同じようなことなのに。
小飼:でも学校ではそこを組み合わせようとはしないんです。理由は、生徒を採点しなくてはいけないから。教育現場では上から降ってくるものを丸のみするしかなくて、「どれだけ上手に丸のみできたか」というのが点数の高さにつながってくる。
松井:自分で工夫できる子どもって、友だちと競い合って勝手にうまくなっているだけ。
小飼:そうなんです。テストの点数がいい子はいいゲームプレイヤーになれるかもしれないけど、ゲームメーカーにはなれない。ゲームメーカーになって初めてそのゲームに対して報酬が支払われるのにね。ものすごい人気のあるゲームの場合はトッププレイヤーがプロとして成立するかもしれないけど、そんなのはほんの一握りですからね。
松井:「シムシティ」(都市開発シミュレーションゲーム)みたいなゲームを進化させて、デザイン自体をゲームにするというのはどうでしょう? ワークフローのデザインとか。思いがけないやり方があるかもしれません。
小飼:仕事もゲームも一緒ですよね。「社畜だ」といっても、本人が面白ければ、他人から文句言われる筋合いはないんです。そういう仕事を辞められないという問題もありますが……。
松井:なぜ辞められないかというと、外を知らないからではないでしょうか。選択肢はいっぱいあるんだけどなあ。
小飼:そういった意味で、一番いい教育というのは「ただ外に出す」ではないでしょうか。子どもを学校にひとまとめにしておくというのが、よくない。
松井:そう、学校って、多様性がないからね。
小飼:いまの学校って、一番悪いやり方をしているのかもしれない。ひとまとめにしておくことの言い訳はコストですよね。
松井:でもネットがこれだけ発達すると、そんなのどうでもいいのではないかと思いますね。集めないほうがコストが安かったりして。ただ、僕は、競争するのが大好きなんですよ(苦笑)。
小飼:ははは。
松井:競争で伸びるタイプの子って間違いなくいます。僕はそういう意味で、学校は嫌いじゃなかった。
小飼:それはありますね。道場のようなものかな。
松井:そうそう。試合に負けたら、家に帰って、練習して、また試合に臨む。チームスポーツも楽しいし、もめながら練習するのも楽しいし、勝ち負けの体験の共有も面白いし。こうした経験って自分が企業で働いてからも生きていましたね。
僕は合気道の道場を経営したことがありますが、ものすごく楽しかった。ビジネスを覚えたのは、それが初めてだったんです。月謝をどうしようか? どこの施設を借りようか? といったことを考えました。自分がアップルで管理職になったとき「なんだ、合気道の道場を経営するのと同じじゃないか」と思いましたね。
小飼:そう考えると、やっぱり二分化してしまいますよね。勝つ人と負ける人に。
松井:工夫がうまい人とうまくない人がいますからね。
小飼:ただ、たいていの人は負けたら痛いし、悔しい。いまのところ勝者にしか賞金がもらえない仕組みになっていることが問題。その部分に再配分要素がないと、勝負を楽しいと思ってくれる人の数が増えない。負ける人は勝負に乗ってくれませんからね。
松井:負けると、痛すぎますからね。
小飼:だから「働かざるもの食うべからず」という仕組みをなるべく早く廃止してほしいんです。「とりあえず飢えはしませんよ。でも面白いゲームをしたかったら戦ってください。誰でもフィーチャーフォンは持てますが、スマートフォンを買いたければちょっと頑張ってください」と。
松井:だからといって、ゲームに負けても死ぬわけではない。あと、何回でもトライできたほうがいい。それで、ゲームに負けたら技を磨くとか、修行の場があるといい。ネットの学校でもいいけど、あまりにもそういうインフラがないですよね。日本は負けて再トライを目指す際に自分を再教育する場がほとんどない。
小飼:「海外に行く」というオプションがあるんだけどなあ。
松井:その選択はアリですよね。いざ行ってみるとそんなに大変じゃないというか、大変の種類が違うというか。僕は、日本の中で人間関係に気を遣っているほうがよっぽど大変だと思う。でも海外に行くことを恐怖に感じている人はたくさんいて、外国に行くくらいならココにいたいと。
●高学歴の人は「仕組みを維持する側」に回ってしまう
松井:1つの学校に入学してそこを卒業する、というモデルがヘンかもしれませんね。
小飼:「学校を卒業すると、何かいいことあるの?」という質問に対し、本当にさらっと説明できないんですよ。
松井:できませんね。
小飼:逆に学歴で地位を得るのであれば、学士ではダメで、博士が必要でしょう。一方で、中学をまともに通っていない人のほうが強かったりする。
松井:「今後のアップルは大丈夫でしょうか?」とよく聞かれますが、アップルには以前、中卒や高卒の人がたくさんいました。ですが、最近はどんどん減っていて……これって残念だなあと思いますね。
小飼:高学歴の人ってやっぱり仕組みを維持する側にまわってしまう。仕組みの中で育ってしまうとなかなか仕組みをつくる方向にいかないんですよね。
松井:高学歴で「こうやったらいいんじゃないですか?」という人は少ない。むしろ、ちょっとヘンなこと言い出す人が必要になるんです。
小飼:槍の名手が集まるところで鉄砲を持ち出すみたいなね。
松井:博士号を持っている人って、いわば“槍の名手”なんですよ。槍を使わせると、ものすごくうまい。ただ、そこから「オレ、こんなの考えたんだけど」と、鉄砲を持ってくる人は生まれない。
鉄砲をつくる人が生まれるには、みんながいろんなことにチャレンジしている環境しかないと思っています。100万人くらいがトライしていれば、1人くらい面白いことを考える人が出てくる。だからみんながいろんなことにトライできる環境って大事だと思いますね。だけど失敗したときのコストが高すぎると誰もトライしなくなるから、やっぱり伸び悩んでしまう。
ちなみに、自分の子どもには「大学、行かなくてもいいんだぞ」と言っています(笑)。
小飼:大学へ行くことに、それだけの効用があるのかという疑問があります。そもそもコンピュータサイエンスなんかを勉強するのに大学に行く必要があるのでしょうか。
松井:本当にそうですよね。僕も新しい言語を覚えるときには、書店で数冊の本を買って、あとは“グーグル先生”に聞けばたいていのことが分かる。
小飼:そう、グーグル先生は大抵のことを知っている。逆にグーグルが知らないことはビジネスチャンスなんで。ほくそ笑んじゃうもんね。うふふって。(次回、7月8日掲載予定)
[野本響子,Business Media 誠]
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